そなたは宴の中にて王であれ
2007年11月29日 にっきにっぽん作り話 コメント (3)メルカドールポポドール!!
祖丘です
適当です
ノリだけです
いつも通りです
というわけで
今日はとりわけ書くこともないので
『てきと茶屋』の出張版として
ひっさびさに『新訳昔話』でもやってみようかと思います
それでは、GO!!(ちょっと長いです)
●笠地蔵●
むかしむかし
とある山にお爺さんとおばあさんが住んでいました
エンゲル係数が100に近い彼等は、
決して食いしん坊なわけではなく、単に貧乏であるだけです
2人はいつも、ギャル曽根の如くおいしいものを食べ尽くしてエンゲル係数を上げたいと願っていました
しかし現実はそうも行きません
夢は夢です
日々の暮らしに困り、エンゲル係数が100どころか一気に0になった時もありました
今年の冬も、そうなりそうです
なのでお爺さんは今日も徹夜で、オールナイトニッポンを聴きながら笠を作りました
この老夫婦は、笠をこしらえて日々の糧を得ていました
でも売れ行きは芳しくなく、もうすぐ正月だというのに酒すら買えません
だからといってくよくよしたりしません
それどころか
ラジオで自分のリクエストハガキが読まれた時なんかは、
嬉しくて作業効率もグングン上がります
意外とこの生活を楽しんでます
雪の降る翌朝
「婆さんや、行って来るぞい」
「気をつけていってらっしゃい(安く買い叩かれないように)」
お爺さんは大量の笠を背負って山を下りました
下り道は転げ落ちないようにするのが大変です
もし転んでしまえば全てがパァ
おばあさんが般若顔になるのを想像すると、寒さ以外の理由で身体が震えだします
途中、6体の地蔵さまが雪に濡れて立っていましたが
お爺さんは一瞥しただけでそのまま町へ急ぎました
笠がバカにならないくらい重いんです
辛いんです
腰にくるんです
年ですし
それで、ある程度笠は売れたのですが
作りすぎたせいか、いくつか余ってしまいました
「仕方ない、持って帰るか」
お爺さんはとぼとぼ山道を帰って行きました
雪は行きより更に降り積もっています
誰が作ったのか、雪だるまやかまくらまであります
そんな風景を眺めながら歩いていると
途中でお地蔵さまを見つけました
頭や肩にかなりの雪が積もり、さすがに寒そうです
行きでは一瞥しただけで通り過ぎましたが
余裕のある今では
「こんな事しかしてやれんが…」
と言って地蔵さまの雪を払って、売れ残った笠を着せました
「これで少しは雪を防げるじゃろ」
お爺さんは手を合わせて、家に戻りました
一方、6体のお地蔵様はというと
なにやら会議を始めました
「あのお爺さん、やさしいなぁ」
「いや、そんでもねぇぞ」
「なしてさ?」
「朝だってべったら寒かったけぇ、あんの爺、笠ァよこさなかったべ」
(朝だってすごい寒かったのに、その時はあの爺さん笠をくれなかった)
適当な方言を使う地蔵さまがぷんすか怒っています
石だから外見じゃちっともわかりませんけど
「たしかにそうだ 朝も氷点下の寒さだった!」
「しかもよく思い出してみれ、爺はちらっとオレら見て素通りだべ?」
「そういえばそーだったな」
「おれらに着せた笠も、どうせ余りモンだべ?」
「…だよなぁ 爺さんの持ってた笠、明らかに行きより少なかったしな」
「とはいえ、爺さんが笠をくれた事に変わりはねぇ! ここで恩のひとつも返さなきゃ、地蔵の名が廃るってもんでい!」
「そうだな 恩を受けたに代わりないしな。お爺さんになんかあげよう」
「何がいいさね?」
「あー、アレでいいよアレで 丁度いいタイミングじゃないか」
「うん、そいつは名案だ!アレがあったね、アレが」
「よし、じゃあアレでいこう!」
こうして会議は終わりを迎え
地蔵さまはよっこいしょと立ち上がりました
……
…
夜も更けて
お爺さんとお婆さんが寝ていると
戸口でどたばたどたばた音がしました
たまに「はよせな!」などの声が聞こえてきます
2人は起きて正体を確認しようと思いましたが
結局布団から出られませんでした
抗えない強力な眠気にあっけなく負け、2人はまた眠ってしまいました
翌朝
昨日に引き続き雪がこんこん降り積もる中
お爺さんは家の戸口を開けて驚きました
「婆さん!婆さん!!」
「誰が婆さんだい!あたしゃまだ105だよ!!」
「充分ババァじゃ!ってそうでなく、見てみ」
「…おお、これはッ!!」
外にあったのはスルメイカ
すっごい、おおきなスルメイカ
所々齧った跡があるのはご愛嬌
他にはハンパな数のキビ団子や、既に蓋が開いている玉手箱
茶碗と針のセットなどがありました
「これは…昨日の地蔵さまがくださったに違いない」
「ありがたやありがたや」
2人はその場で手を合わせて……ふと気付きました
……ホントにありがたいかコレ?
首を傾げてしまいました
一方、地蔵さま達はというと
「いやー、アレ処分に困ってたんだよね」
「ほんとほんと 迂闊に捨てられないしね」
「この前のクリスマス会でのプレゼントだもんな」
「これでとりあえず、あの微妙にいらないプレゼントの大体は処分できたぞ」
「くれたのが余り物の爺にゃ、こんくらいで平気だべ」
「んだんだ」
「…あ、そういえば昨日桃太郎の奴とメールしたんだけどさぁ」
……と、こんな感じで
クリスマス会の思い出話へと話題がシフトしていきました
こんなこと
おじいさん達は知る由もありませんでしたとさ
めでたしめでたし
ちなみに、主だったクリスマス会の参加者は
一休 お師匠様 桃太郎 金太郎 浦島太郎 亀 一寸法師 鶴
と、こんな感じ
●おしまい●
それでは
さらば!とうッ!!
祖丘です
適当です
ノリだけです
いつも通りです
というわけで
今日はとりわけ書くこともないので
『てきと茶屋』の出張版として
ひっさびさに『新訳昔話』でもやってみようかと思います
それでは、GO!!(ちょっと長いです)
●笠地蔵●
むかしむかし
とある山にお爺さんとおばあさんが住んでいました
エンゲル係数が100に近い彼等は、
決して食いしん坊なわけではなく、単に貧乏であるだけです
2人はいつも、ギャル曽根の如くおいしいものを食べ尽くしてエンゲル係数を上げたいと願っていました
しかし現実はそうも行きません
夢は夢です
日々の暮らしに困り、エンゲル係数が100どころか一気に0になった時もありました
今年の冬も、そうなりそうです
なのでお爺さんは今日も徹夜で、オールナイトニッポンを聴きながら笠を作りました
この老夫婦は、笠をこしらえて日々の糧を得ていました
でも売れ行きは芳しくなく、もうすぐ正月だというのに酒すら買えません
だからといってくよくよしたりしません
それどころか
ラジオで自分のリクエストハガキが読まれた時なんかは、
嬉しくて作業効率もグングン上がります
意外とこの生活を楽しんでます
雪の降る翌朝
「婆さんや、行って来るぞい」
「気をつけていってらっしゃい(安く買い叩かれないように)」
お爺さんは大量の笠を背負って山を下りました
下り道は転げ落ちないようにするのが大変です
もし転んでしまえば全てがパァ
おばあさんが般若顔になるのを想像すると、寒さ以外の理由で身体が震えだします
途中、6体の地蔵さまが雪に濡れて立っていましたが
お爺さんは一瞥しただけでそのまま町へ急ぎました
笠がバカにならないくらい重いんです
辛いんです
腰にくるんです
年ですし
それで、ある程度笠は売れたのですが
作りすぎたせいか、いくつか余ってしまいました
「仕方ない、持って帰るか」
お爺さんはとぼとぼ山道を帰って行きました
雪は行きより更に降り積もっています
誰が作ったのか、雪だるまやかまくらまであります
そんな風景を眺めながら歩いていると
途中でお地蔵さまを見つけました
頭や肩にかなりの雪が積もり、さすがに寒そうです
行きでは一瞥しただけで通り過ぎましたが
余裕のある今では
「こんな事しかしてやれんが…」
と言って地蔵さまの雪を払って、売れ残った笠を着せました
「これで少しは雪を防げるじゃろ」
お爺さんは手を合わせて、家に戻りました
一方、6体のお地蔵様はというと
なにやら会議を始めました
「あのお爺さん、やさしいなぁ」
「いや、そんでもねぇぞ」
「なしてさ?」
「朝だってべったら寒かったけぇ、あんの爺、笠ァよこさなかったべ」
(朝だってすごい寒かったのに、その時はあの爺さん笠をくれなかった)
適当な方言を使う地蔵さまがぷんすか怒っています
石だから外見じゃちっともわかりませんけど
「たしかにそうだ 朝も氷点下の寒さだった!」
「しかもよく思い出してみれ、爺はちらっとオレら見て素通りだべ?」
「そういえばそーだったな」
「おれらに着せた笠も、どうせ余りモンだべ?」
「…だよなぁ 爺さんの持ってた笠、明らかに行きより少なかったしな」
「とはいえ、爺さんが笠をくれた事に変わりはねぇ! ここで恩のひとつも返さなきゃ、地蔵の名が廃るってもんでい!」
「そうだな 恩を受けたに代わりないしな。お爺さんになんかあげよう」
「何がいいさね?」
「あー、アレでいいよアレで 丁度いいタイミングじゃないか」
「うん、そいつは名案だ!アレがあったね、アレが」
「よし、じゃあアレでいこう!」
こうして会議は終わりを迎え
地蔵さまはよっこいしょと立ち上がりました
……
…
夜も更けて
お爺さんとお婆さんが寝ていると
戸口でどたばたどたばた音がしました
たまに「はよせな!」などの声が聞こえてきます
2人は起きて正体を確認しようと思いましたが
結局布団から出られませんでした
抗えない強力な眠気にあっけなく負け、2人はまた眠ってしまいました
翌朝
昨日に引き続き雪がこんこん降り積もる中
お爺さんは家の戸口を開けて驚きました
「婆さん!婆さん!!」
「誰が婆さんだい!あたしゃまだ105だよ!!」
「充分ババァじゃ!ってそうでなく、見てみ」
「…おお、これはッ!!」
外にあったのはスルメイカ
すっごい、おおきなスルメイカ
所々齧った跡があるのはご愛嬌
他にはハンパな数のキビ団子や、既に蓋が開いている玉手箱
茶碗と針のセットなどがありました
「これは…昨日の地蔵さまがくださったに違いない」
「ありがたやありがたや」
2人はその場で手を合わせて……ふと気付きました
……ホントにありがたいかコレ?
首を傾げてしまいました
一方、地蔵さま達はというと
「いやー、アレ処分に困ってたんだよね」
「ほんとほんと 迂闊に捨てられないしね」
「この前のクリスマス会でのプレゼントだもんな」
「これでとりあえず、あの微妙にいらないプレゼントの大体は処分できたぞ」
「くれたのが余り物の爺にゃ、こんくらいで平気だべ」
「んだんだ」
「…あ、そういえば昨日桃太郎の奴とメールしたんだけどさぁ」
……と、こんな感じで
クリスマス会の思い出話へと話題がシフトしていきました
こんなこと
おじいさん達は知る由もありませんでしたとさ
めでたしめでたし
ちなみに、主だったクリスマス会の参加者は
一休 お師匠様 桃太郎 金太郎 浦島太郎 亀 一寸法師 鶴
と、こんな感じ
●おしまい●
それでは
さらば!とうッ!!
コメント
昔話以外にどこかで聞いたような話ですね。
“彼女”がゲスト出演してるんですよw
>嫌に生々しい
それが『新訳昔話』の書いてて楽しい所ですw